挑戦してみて アグリトゥリズモ
そのむかしアグリトゥリズモ(農園民宿)の始まりは、お百姓さんの仕事を手伝うのと引き換えに、家の片隅に泊まらせてまらうものでした。人が入れるくらい大きな暖炉の脇で、農家のおじいさんから昔話を聞いたり、おばあちゃんの手作り料理をごちそうになったり。そうして長い夜を過ごしたものです。
いっぽう今日のアグリトゥリズモは、そのスピリットを継承しつつも、ホテル同様の方法と感覚で泊まれるようになりました。
貴族の館に泊まれることも
タイプも昔の農家のほか、貴族の館だったりすることも。たとえばこんなシチュエーションも。
一般道の脇に突然現れる門。掛かっている紋章に半月が描かれていたら、それは十字軍に参戦した印です。延々と続く糸杉の小道。次第に農家や教会の集落が始まり、そして道が終わる小高い丘に領主の館。そうした中世の荘園スタイルそのままのアグリトゥリズモだって見つかります。
楽しむ方法も多彩。もちろんアグリトゥリズモごとに違いますが、春は森でピクニック、夏はプールサイドで青空をぼんやり眺めたいもの。そして秋にはぶどう狩りやオリーブ摘みを眺められるかもしれません。冬は郷土料理を新作ワインと味わうのがgood。
キッチン付きのお部屋を借りれば、あなた自身がお友達とトスカーナ料理に挑戦することだってできます。
キャンティに代表される北部、クレテをはじめとする南部・・・シエナの大地は、リラックス気分満点のアグリトゥリズモがいっぱいです。
クルマがあればシエナ市街からのアクセスが思いのほか簡単なのも美点。その証拠に、近年は他の地方から来るイタリア人にも、シエナ地方のアグリトゥリズモが人気です。
趣さまざまホテルライフ
ホテルのタイプも多種多様。
ホテルは、オーナーの個性がよく反映されているもの。
レセプションの老夫婦に聞けば、そのパラッツォ(建物)のストーリーを丁寧に教えてくれることでしょう。街の中心にあるホテルが、意外にも裏に広い庭園を持っていたりなんていう驚きも、ホテル選びの楽しみです。クルマがあれば郊外に宿をとるのも選択肢のひとつ。そうしたホテルの中には、もともと修道院だった建物、といった風情のあるものもよくあります。隠れ家のような素敵なリストランテでトスカーナ料理とワインのディナー、といった楽しみもシエナの大地ならではです。赤いクルマでも借りて、コンティネンタル・ツアラーを気取るのはいかが?
もちろんアメリカン・タイプのホテルも。こちらはモダーンな設備とサービスを誇ります。
いずれのタイプも従来のイメージを超えたヒューマン・タッチなホスピタリティー。これがシエナの大地のホテルです。
部屋にステイで"町の人"気分
お店屋さんなどの隅に Affittacamere
アッフィッタカーメレと書いてあったら、それは「貸しアパルタメントあります」の合図。
ヨーロッパでは若い人はもちろんミドルエイジの旅行者も、こうした貸し部屋をうまく使って旅を楽しみます。原則として食事はありませんが、逆にプライベート感覚は充分。
1泊や短期間でも宿泊可能な部屋もあるので、ぜひチャレンジしてみる価値ありです。実際は住居を改造したものが多いので、作りは一般家屋仕様のことが多く、ときには置いてある家具もたまらなくアンティークだったりします。家主のおばさんからカギをもらったら、さっそくベッドに仰向けになり、高い天井を見上げてください。
いっときでも町の人になった満足感に、きっとひたれる一瞬です。
--あなたの次のイタリアは、そろそろ本格的なヨーロッパ式ヴァカンスを。それもシエナでいかがですか?