街めぐりに疲れたらテルメ(温泉)でリラックス。そんなわがままもシエナで叶います。特に夏、屋外の温泉プールでのリフレッシュは最高です。シエナ県には有名なものだけでも約10もの温泉が。以下にいくつかをご紹介しましょう。
近さが魅力 ラポラーノ・テルメ
ラポラーノ・テルメはシエナ市街から南東へ20数km。
道中、粘土質の大地クレテ・セネージの風景も楽しめます。セラピーセンターのひとつ、"アンティーカ・クエルチョライア"は、シエナから路線バスでも気軽に行けるのが魅力です。バスを選べば日帰りも可能です。
湯温は38〜39℃。トスカーナの青い空を眺めながら、デッキチェアでのんびりするのは至福の時です。
ランチは水着のままバールでパニーノとエスプレッソ、とキメましょう。 なお、プールのほかにジム、スパ・トリートメント、リラックス・マッサージがセットになった1日温泉コースもあります。
帰りがけ、少しがんばって歩けば、ラポラーノの箱庭のような町に迷い込むことだってできます。ここは中世にシエナ共和国を守るお城の町でした。
レンタカーかタクシーなら、同じラポラーノでもちょっと奥に入ったところにある "テルメ・サン・ジョヴァンニ・ホテル" も一興。夏季営業の温泉プール(約35℃)のほか、こちらも理学療法、マッサージ、ファンゴ(泥)、フェイストリートメントなど、充実したプログラムが用意されています。そしてどちらのセンターでも、オリジナル温泉化粧品は要チェック!です。
優雅なリゾート、キャンチャーノ
ヨーロッパならではの温泉保養地ムードを味わうには、キャンチャーノ・テルメの街がおすすめです。歴史ある温泉療養用ホテルが並ぶそのさまは優雅そのもの。ピアッツァ(広場)や劇場では、観光客の多い夏期シーズンはもちろん、年間を通じて催し物が行われています。
ここでもホテルやセラピーセンターが各種の温泉テラピー/エステティックを用意していますが、なかでも伝統的で気軽に楽しめるのは飲泉、つまり飲む温泉です。体の中で胆汁の働きを活発にするので、消化を促進すると同時に、体にとって不要な成分を除去する働きがあります。
サン・カッシャーノ・デイ・バーニ
車だったらキャンチャーノ・テルメの南にあるサン・カッシャーノ・デイ・バーニ San
Casciano dei Bagni
も選択肢のひとつ。このエリアは、高速A1号線を使ってローマからアクセスしやすいのも嬉しいところです。そこにあるチェントロ・テルマーレ・フォンテヴェルデは年間を通じて営業しています。
温泉のあとも・・・
心も体もリフレッシュしたあと、充実したグルメもシエナならではです。温泉が点在するシエナ県南部は、高級ワインとして日本でも有名なブルネッロ・ディ・モンタルチーノやヴィーノ・ノーヴィレ・ディ・モンテプルチャーノのワイナリーが。そうした極上ワインに合わせるのは、イタリア屈指の良質牛であり、これまたシエナ県南部産のキアニーナ牛はいかがでしょう?ダイエット派のあなたには、さまざまな豆を多用した素朴な田舎料理がおすすめ。初めてなのに懐かしい、おばあちゃんの味です。
森の中にも温泉が
もしレンタカーがあれば、シエナ市街からグロッセートに向かう途中にある、バーニ・ディ・ペトリオーロも面白いかも。
街道から離れ、森の道を下ること数分。川のほとりに温泉が涌き出ていて、人々は好きなところで川に流れるお湯に当たっています。湯温も熱め。ちょっとのぼせたら川にドボン。温泉の次は天然の冷水浴、というわけです。もちろんここは無料。なんと冬でも入りに来る人がたくさんいます。なお隣には季節営業のセラピー・センターも完備(4〜11月営業)。いにしえの崩れかけた城壁や、石を積み上げた昔の浴槽も、独特の風情を醸し出しています。
歴史の湯煙にあなたも
シエナ県南部バーニョ・ビニョーニの村。こちらは見学だけですが、村の中心には古い大きなプールがあります。ここは、中世にシエナの聖女サンタ・カテリーナも湯治に訪れたといわれる、由緒あるモニュメントです。なお、クルマで数分走れば、温泉プールを備えた近代的なホテルもあります。
エトルリア時代から人々に愛され、中世には巡礼者たちが湯治に訪れたというシエナの温泉。その大いなる歴史ロマンを感じる湯煙に、あなたも包まれてみませんか。